太陽光パネルや設備の故障率や寿命と故障例

「太陽光発電設備は故障しないし、ノーメンテナンスでよい。」
という強い誤解がいまだにあります。

しかし、基本的には電気製品のため、家電や車や住宅と同じで、故障します。
たとえば、パネルが汚れていたら発電量は減りますし、ひどい汚れは故障にもつながります。

故障率

どらぐらい故障するかというと、国の調査では下記の通りです。

平成24年度使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル基礎調査委託業務 報告書(環境省) 3/3より
 ※モジュール=パネル、パワーコンディショナ=パワコンです。

また、日経クロステックのアンケートによると下記の通りです。

・太陽光パネルの故障率は10%(2017年のアンケート)
https://xtech.nikkei.com/kn/atcl/bldhbd/15/1711/050900002/

他にも色々と言われていますが、10年で数十%ぐらいは故障している感じです。
ほとんどの調査は、設置した設備を全量検査したわけではなく、故障報告があった(見つかった)件数のため、上記の調査よりも高い可能性もあります。

寿命

一方で、パネルについては長寿命な製品もあるようです。

1984年に設置された京セラのパネルは、36年目の2021年で出力低下率17.2%とのことです。
(想像ですが、かなりしっかりしたメンテナンスをされているかと思われます。)

京セラの特長 | 太陽光発電・蓄電池 | 京セラ
30年以上の長期稼働実績を実際の出力低下率とご紹介。独自の技術で高品質の製品を作り続けてきた京セラ製品の特長をご紹介します。

また、上記のサイトにも京セラとA社とB社の比較表があり、出力低下はメーカーや製品毎にかなりバラツキがあるようです。

10年以上はパネルに限ったことであって、パワコンは早いと10年以内に故障する製品も多いようです。(上記、環境省の調査であるとおり。)

寿命は、製品の種類だけで無く、設置方法、影の有無、温度環境、潮風などの塩害、積雪、風の強さなどにも影響されます。
また、工業製品のため、同じ製品でも当たり外れもあります。

パネルに関しては、PV Evolution Labsという試験機関が毎年テストをして結果を発表しています。

PVEL | Bankability Testing for the Solar Industry
PVEL is the independent lab for the downstream solar industry. Our bankability testing helps developers access and optimize financing.

数年前までは、京セラやパナソニックも参加して良い製品の認定を受けていたみたいですが、最近は参加していないようです。

故障例

実際どのように故障するかは、部品によって異なります。

パネル

割れ、内部の剥がれ、ハンダの剥離、防水が劣化して水が入る、バイパスダイオードの故障など、様々な原因で故障します。

割れたパネル

太陽光パネルは、額縁がアルミ、上側がガラス、間に太陽光電池、下に樹脂、太陽光電池を半田でつなげて、故障したときに全部が壊れないようにバイパスダイオードが使われているという構造です。

両面ガラスのパネルが強そうかなと思っていましたが、裏面も何かしらの原因で割れることがあるようです。(6年で3000枚中の30枚が故障=1%のため、それほど高くない感じもします。)

両面ガラスの6年半、信頼性を上げつつも30枚に割れ、笠間市の太陽光発電所 - 探訪 - メガソーラービジネス : 日経BP
茨城県の中部に位置する笠間市に、両面ガラスタイプの太陽光パネルを設置した連系出力500kWの太陽光発電所がある。2015年に稼働し、約6年半が経過した。

ゴミなどがパネルについた状態を放置するのも良くないです。

パネルの一部が高温になるため、劣化が早く進みます。

パネルに落ち葉
サーモグラフィー

基本的に、パネルは高温、潮風、低温、強風、積雪などに弱いです。
絶対にパネルを踏んで点検するなど、上に乗ったりしないでください。

架台

主に、錆により強度が劣化します。

上記は10年が経過したどぶ漬けメッキの架台です。横に渡してある部材だけが弱かったのか、錆びています。

配線・ボックス

配線や配線を止めているインシュロックというプラスチックのヒモが劣化して切れる事が多いです。

インシュロックが外れて、ケーブルが垂れると風で揺れるようになります。
強風でパネルをたたくことがありますし、屋根に当たって削れ被覆が無くなり、漏電することもあります。

太陽光発電に適したインシュロックもありますので、オススメです。

また、プラスチックの部品は10年以上直射日光に耐えられる製品は少ないため、点検が必要です。

保護用のパイプが割れたり、シーリングが劣化して水が入ることがあります。

パワコン

全体が壊れれば、発電量が0になるため、わかりやすいのです。
しかし、中の一部が故障して80%になることもあります。
下記の写真のように5台の並列回路があって、1台壊れると80%になります。

5つある基板のうち1枚が故障することもある

また、ファンが故障したため、高温時だけ停止することもあります。

ファンの1台が故障

ファンを外したらホコリで詰まっているということもありました。

モニタ

モニタが一番寿命が短いため、最初に故障すると言われています。

モニタが故障すると発電量等の情報が分からなくなります。

故障履歴はモニタでしか分からない機器もあります。

モニタがパワコンのリモコンになっていて、モニタが故障すると発電しなくなる機種もあるようですので要注意です。

周辺の電気環境が変わる

故障ではありませんが、周りに新しく太陽光パネルが設置されるなどが原因で、電柱の電圧が上がると電圧抑制がかかることがあります。

余剰売電をされている場合は、発電量が減ることがあります。

その場合は、モニタにエラーが記録されます。
パワコンの設定値を変更したり、電力会社に問い合わせて、調整してもらう必要があります。

初期不良

最初の表からも分かるように、故障に気がつくのは1年目が多いです。
(最初は気にするために故障が見つかると言うこともあるかもしれません。)

それは、初期不良が多いためではないでしょうか。

実際、配線ミスによる発電量不足の例をいくつも知っています。

結論

太陽光発電設備のメンテナンスは必須です。
メンテナンス方法は、下記のようなガイドラインがあります。

保守点検(O&M)について - JPEA 太陽光発電協会
発電事業普及へ向けて トップ 発電事業普及へ向けて 保守点検(O&M)について 保守点検(O&...

しかし、120ページ以上あり、電気に詳しくないと読むのも難しいと思います。

簡単にできることは、毎月、発電量をチェックすることです。
故障すれば発電量は下がることが多いです。

発電量は天候に左右されるため、システムが役に立つのです。

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