太陽光パネルを赤外線カメラで点検する方法

赤外線カメラ(サーマルカメラ、サーモグラフィー)で撮影することで、太陽光発電設備に故障が無いか簡易に点検できます。

チェック方法(使い方)

太陽光パネル(ソーラーパネル)

晴れて発電している時に太陽光パネルを撮影します。

パネル全体がムラ無く均一な温度分布であれば、異常はありません。
※雲などが写る、周辺の景色を反射する場合にムラになることがあります。
色々な角度から確認することで、発熱なのか反射なのかがわかります。
可能な場合は裏側から撮影すると雲などの影響が無いため、わかりやすいです。

正常な例

高温になっている部分があれば、異常を疑います。
※裏側にボックスがある部分(ケーブルが出ている部品)は、熱が逃げないため温度が高くなります。

異常な例

できれば全体を動画で撮影し、異常が疑われるパネルを個々に写真で撮影するのが良いです。
※あとから雲の影や反射などを動画で判断できます。

パワコン(パワーコンディショナー)

すべてのパワコンが発熱していれば動いているため正常です。
※また、他より高温になっているパワコンがあれば、ファンの故障などの異常を疑います。

5台中2台が停止

また、パワコンや接続箱の内部を開けて、ケーブルやブレーカーや基板が発熱していれば、正常とわかります。
※ケーブルやブレーカーに電気が流れていれば発熱しますが、流れていなければ発熱しません。

正常なパワコンの内部(ストリング毎の5つの基板が全部動いている)

どんな異常がわかるか

ゴミや汚れなどによる影の影響でセルが発熱

木の葉や汚れでセルに影がかかると、セル単位で発熱します。

木の葉や汚れを取り除きしばらく待つと他と同じ温度になりました。
しかし、発熱したまま放置すると完全にセルが故障し、いわゆるホットスポットとなることがあるようです。

つまり、アンテナや電柱で日々影になる場合は、長期的に見るとパネルの故障の原因となることがあるようです。

クラスタ不良によりパネルの一部が発電しない

クラスタ不良とは、パネルの1/3や2/3が発電していない状況です。
セルの多数が故障したり、はんだが剥離したり、バイパスダイオードが故障したことにより、発生します。
※クラスタ不良が10年以内に発生した場合、出力保証の対象になる事が多いです。

クラスタ不良とホットスポットが発生している

パネルの下の2列がクラスタ不良で、中段右側がホットスポットです。
中段左側は裏にボックスがある影響で、他のパネルにも同じ位置が熱くなっています。
ただし、クラスタ不良の影響で、ボックス内のダイオードが発熱するため、他のパネルより温度が高いです。

ストリング不良でパネルの一列が発電していない

配線に不具合があったり、パワコンの一部が故障したりすることで、直列に繋がれたパネルの1列が発電していない状況になる例です。

左から5列目のパネルが発熱している

この発電設備では1ストリング10枚のため、左から5列目の上から10枚が発熱しています。

損失が大きいため、業者に連絡して、ストリングの電圧を測ったり、マルチのパワコンの場合は配線を入れ替えてみるなど、さらなる調査が必要です。

カメラの選び方

太陽光パネルを検査するのに、一般的にはテスターで電圧や電流を測ったり、高額なIVカーブトレーサーが必要になりますが、電気の知識が無ければいずれも危険な作業になります。

赤外線カメラは、非接触で使用できるため、感電リスクが低いです。また、3万円程度から購入でき、誰でも使えるのでセルフメンテナンスにオススメです。

FLIR ONEは、最も安くスマホにつけられますが、接続や動作が不安定な事がありました。レビューを読んでもそういった意見があるため、相性問題があるようです。
赤外線カメラは4,800画素と少なめです。

C3は普通のカメラのため安定して使えます。12,288画素とより鮮明な画像が撮影できます。
若干安い並行輸入品もありますが、保証内容等が異なるようです。
19,200画素のC5もありますが、C3で必要十分かなと思います。

オススメはスマホに一体となったCAT S62です。wifiやアプリが利用できるため、アップロードの手間などが省けます。19,200画素であり、C5と同等で画面も大きいため見やすいです。

CAT S61は、一つ前のモデルでお安いです。ただし、4,800画素と少なめです。
上記の写真はS60というもう一つ前のカメラで4,800画素ですが、十分に分かります。

私はONE、C2、S60を使ったことがあるのですが、S60が一番使いやすかったです。

まとめ

撮影するときは、まず動画で広く歩きながら撮ります。
自撮り棒や脚立や踏台などを使って少し上から撮影するとわかりやすいです。
発電所全体から10枚程をイメージです。

晴天や完全に曇っている日が反射が少ないです

他と違うパネルがあった場合は、近くや裏側から撮ります。

触ってみるのも良いです。人は3度差ぐらいの違いでもはっきり分かります。

カメラ選びは解像度が解像度が高く、画面が広い機種がオススメです。

おまけ:発熱箇所と故障箇所が異なるパネル

ハーフカットセルなどのパネル種類によっては、発熱箇所と故障箇所が異なる場合があるようです。

ハーフカットのシングリングパネルの例

正常なパネルにタオルを置いた所、異なる場所が発熱していました。
電流の流れが一部に集中したため、発生したと思われます。

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