ソーラーパネルへの影の影響について色々な情報があります。
■電柱を見立てた実験
■パネル1枚の一部にかかる影による影響
https://www.env.tohtech.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2017/02/2012-1-6.pdf
ただ、実際に年間を通した発電量がわからなかったため、計算してみました。
1m離れた隣に1階分高い建物があり、午前中に影がかかる屋上に太陽光を設置しました。
また、設置工事に施工業者のミスがあり、アレイ間の離隔が少なすぎてパネルの影になった場合の影響について、実際の値を計算してみました。
設備について
隣の建物の影響で、上記の写真の様に12月の10時半だと上記のように半分ぐらいが影になります。
真南向きの傾斜角5度、330Wのパネル(CS1K-330MS)が18枚で5.94kwです。
1ストリング6枚で、左6枚、真ん中6枚、右と手前を合わせて6枚という接続で、パワコン(CSR-56G4F = KPR-A56-J4)の3つのMPPTに接続しています。(パワコンはMPPTが4つのため1つは空きです。)
隣の建物の影の影響
影の影響がなければ、午前と午後の発電量が同じだと仮定して、時間毎の1年間の平均を比較する表を作成しました。
影のある午前は、影の無い午後の73%の発電量になります。
2021年の1日平均で影がある状況(17.81)÷無い場合の仮定(20.23=午後x2+12時)では、88%となります。
また、開発中のシステムで実際の年間発電量を想定発電量で割ったところ91%となりました。
午前と午後の比較と結果が異なるのは、建物の反射による午後の発電量の増加が若干あるためと思います。
結論として、隣に高い建物があり、午前中に影になる場合は約10%減少になります。
ただし、設置2年目の状況のため、部分的な影は長期的な視点で見ると太陽光パネルに悪影響を与えると言われていますので、経年劣化により今後どうなるかは要観察です。
パネルの影の影響
改善前
アレイ間の離隔が少なすぎて、12月は影がかかっていました。
3cmぐらいのほんの少しの影ですが、2つのストリングに影響がありました。
影無 ストリング1:205.7Vx6.2A=1,275.34W
影有 ストリング2:193.8Vx6.1A=1,182.18W 92.7%(ストリング2/ストリング1)
影有 ストリング3:193.6Vx6.2A=1,200.32W 94.1%(ストリング3/ストリング1)
1つストリングに6枚のパネルですが、そのうちの1枚の3cmぐらいに影がかかっただけで5%以上の影響が出るという事です。
改善方法
架台を緩めて、片方をずらしました。
上記の通り、ストリング2が改善されました。
影無 ストリング1:204.0Vx6.1A=1,244W
影無 ストリング2:204.4Vx6.1A=1,247W
影有 ストリング3:193.2Vx6.2A=1,198W 96.2%(ストリング3/ストリング1)
改善後
その後、もう1つもずらしました。
上記の通り、すべてが改善されました。
パネル長さが1,675mm、6枚で10,050mm、そのなかの30mm、つまり0.3%が影になっただけで発電量が5%下がるということです。(セルにかかった影だと10mmぐらいなので0.1%です。)
年間にしたら、気にするレベルではないかもしれませんが、長期間にわたり影がある場合、パネルの一部が故障することもありますし、影は無いに越したことはありません。
今回はパネルの影でしたが、パネルの端に砂埃などの汚れがたまっても同様になると考えると、目視の点検は重要ということがわかります。
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